さくらいろ
2005年11月13日こんな寒い季節に
小さく咲く桜色の花を見つけた
花屋の奥、隅の方
ひっそりと誰にも注目されずに咲く名も解からない花
貝殻のように透き通る桃色に思わず目を奪われる
「お気づきですか」
少し老いた店主が私を見て微笑んでそう言った
名も無き花は静かに揺れた
「これを下さい」
思わず手に取った時
かすかに香った匂いはとても柔らかく
店主がそっと首を横に振るのと同じようにそっと揺れた
「それは、売り物ではないのですよ」
老いた店主。
「これがどうしても欲しいのです」
食い下がる私の前でやわらかな笑みを浮かべ、店主は問う
「本当に貴女が愛しているのなら」
「花は自然に貴女の下で咲き誇るでしょう」
「貴女は本当にこの花を愛しているのですか?」
口篭もる。
「他人の育てたものだからこそ美しい」
店主が一言言葉にすると私の手元で美しい花はそっと崩れ落ちる
そして私の手の中には毒々しいほどに原色の赤が残った。
それは、血の色だった。
「咲く筈です」
店主の一言。
目が覚める。
まるで私を誡めるかのような夢。
あの美しい花は私の店にも咲くのだろうか。
あの店主は誰だったのだろうか。
かすかにあのさくらはわたしの得るべきものだと確信。
いつか、咲かせる筈の私の花だと。
小さく咲く桜色の花を見つけた
花屋の奥、隅の方
ひっそりと誰にも注目されずに咲く名も解からない花
貝殻のように透き通る桃色に思わず目を奪われる
「お気づきですか」
少し老いた店主が私を見て微笑んでそう言った
名も無き花は静かに揺れた
「これを下さい」
思わず手に取った時
かすかに香った匂いはとても柔らかく
店主がそっと首を横に振るのと同じようにそっと揺れた
「それは、売り物ではないのですよ」
老いた店主。
「これがどうしても欲しいのです」
食い下がる私の前でやわらかな笑みを浮かべ、店主は問う
「本当に貴女が愛しているのなら」
「花は自然に貴女の下で咲き誇るでしょう」
「貴女は本当にこの花を愛しているのですか?」
口篭もる。
「他人の育てたものだからこそ美しい」
店主が一言言葉にすると私の手元で美しい花はそっと崩れ落ちる
そして私の手の中には毒々しいほどに原色の赤が残った。
それは、血の色だった。
「咲く筈です」
店主の一言。
目が覚める。
まるで私を誡めるかのような夢。
あの美しい花は私の店にも咲くのだろうか。
あの店主は誰だったのだろうか。
かすかにあのさくらはわたしの得るべきものだと確信。
いつか、咲かせる筈の私の花だと。
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